MORISAWA PASSPORT FontKeeper
モリサワの「PASSPORT アップグレードキット2009」がきましたよー!
10日から発送開始と聞いていたのになかなかこないから、すんごい待ってたよー。
今回楽しみにしてたのはフォント管理ツール、MORISAWA PASSPORT FontKeeper!
と、いうわけでさっそくテストテスト。
感想。FONTWORKS LETS FontACEといい勝負ですな!悪い意味で!
うん、なんというか、多少の違いはあれど、できること、できないことはほぼ同じ。
なので、感想とゆーてもFontACEとほぼ同じになっちゃうので省略!…って思ったけど、FONTWORKSばっかりさんざんけなしておいて、モリサワは「FONTWORKSと同じ。以上!」じゃあんまりだからがんばってモリサワもけなす事にするよ!<違
1.システムフォントフォルダーのフォントしか管理できない。
最大のダメポイント。
LETS FontACEと同じく、システムのFontsフォルダに入れているフォントしか、管理できません。
(※ LETS FontACEは1.1アップデートにて1バイトフォントであれば、Fontsフォルダ外のフォルダで管理可能になったけど)
FontACEの時も書いたけど、フォント管理ツールを必要とするほどフォントを大量に使用するユーザーは、全部のフォントをそのままFontsフォルダに突っ込むような使い方はしないと思うんだ…というか、私はしないんだけど…皆、そんなに全部Fontsフォルダにつっこんでるの?
なんか、FontACEといい、今回のFontKeeperといい、あまりにも「Fontsフォルダに全部つっこんで使え!」っていう前提なので、自分が間違ってるのかと思っちゃうよ。
2.重複フォントは管理できない
なんで私がこんなに外部フォルダでのフォント管理にこだわるのかというと、印刷会社の出力部という立場上扱うフォントが大量である(どんなフォントがきても対応する必要があるので、とりあえずインストールはしとかなきゃいけない)のと、同名フォントのバージョン違いといった「同じフォントなんだけど、違いがあるフォント」なんてのを取り扱わねばならないからです。
んで、FontKeeperですが。重複フォントの管理がどうなっているのか、テストしてみました。
テストに使ったのは、Adobe のCSシリーズをインストールすると勝手に入るフォント群。全く同じフォントもあれば、同じフォントのバージョン違いもある。これらを「adobe CS1」「adobe CS2」というフォルダにそれぞれ分別して入れたのち、Users/Library/Fonts/フォルダに突っ込んでみました。
結果!同名フォントはFontKeeper上で「重複フォントがあるよ」と表示されるけど、区別されない。
▲重複するフォントがあった場合、FontKeeper上では緑色で表示される。
ただし、表示されるフォントは一つだけ(3個あっても1個の表示)なので、どのフォントがアクティブなのかはパッと見では判断できないし(フォント情報を表示すればわかる)、それぞれのフォントファイルをフォントコレクションに登録して使い分けるといった使い方もできない。
んー、LETS FontACEでは少なくとも重複するファイルは別のファイルとして見えていたのでフォントセットに個別登録すればとりあえず切り分けは可能だったんだけど。この点FontKeeperでは実質、重複するファイルは管理できないといっていい。
2.フォントコレクションの登録がめんどくさい
LETS FontACEと同じく、フォントコレクションの作成は、登録されたフォントをひとつひとつ選択してコレクションに登録するというやり方なので、すごくめんどくさい。
私の理想は、フォルダ分けされたフォントをフォルダごとドロップしたらそのままフォントコレクションとして登録される…というのなんだけど。
今回、モリサワから、コレクションファイルも配布されてて、そのコレクションファイルを読み込めば書体ごとの分類はできるんだけど…いや、でもこの分類ってちょっと細かすぎて私には使いづらい…っていうか…あくまでモリサワ的書体分類だよね。
でもフォントのオンオフって書体分類だけで分類して使いたい訳じゃなくて、業務別とか、よく使うフォント別とかあるわけですよ。なのでこのコレクションはあんまり役にたたない。
コレクションのインポート、エクスポートができるところは評価する。
業務ごとのフォントコレクションを作ってそれを同じチームで共有する(フォントの違いによるミスをふせぐ)っていうのはあるからね。
3.コレクション全部オフにすると強制的に全フォントアクティブにされる(笑)
フォントコレクションにはデフォルトで「すべてのフォント」ってのが用意されていて、インストールされているすべてのフォントが登録されているのだけど、デフォルトでオン。つまり全部のフォントがアクティブ。
他のフォントコレクションを作成して、オンにすると、「すべてのフォント」をオフにできる。(システムのfontsフォルダのフォントはオフにならない)
で、フォントコレクションを全部オフにして最低限のフォントだけの環境にしようとすると…できない!(笑)
全部のフォントコレクションをオフにしようとすると、強制的に「すべてのフォント」がオンになってしまう仕様です!
▲めっちゃよけいなお世話!
全部のコレクションをオフにといっても、システムが使用しているフォントはオフにはなっていないのだ。だから登録フォントを全部オフにしたってシステム上は問題ないはず…なのにそれをっていうか、必要ないフォントを全部外したりしたいからフォント管理ツールつかってるんでしょ?
うっかりコレクションをオフにしたとたん、登録したフォントを全部オンにされるなんて迷惑すぎる。
私が管理しているフォントを全部オンにしようとしたら、一気に5000書体ぐらいがオンになっちゃうんですけど!やめて!
4.コレクションにしないとフォントのオンオフができない
登録されたフォントは、いったんコレクションに入れないとオンオフができません。
さらに、コレクションの中でフォントを個別にオンオフを切り替える事はできず、コレクション全体でオンオフするしかありません。
これは不便。っていうか、ちょっとこの書体だけオンにしたいとかあるじゃん。その度にコレクション作るのなんてやだよ。
5.モリサワフォント、他社フォントっていう分類は全然意味ないでしょ
フォントライブラリ上での大分類に「モリサワフォント」「他社フォント」っていう分類が用意されてる。
その名の通り、モリサワのフォントと他社フォントが分類表示されるだけ。
モリサワのフォントだけ眺めてにやにやしたい人なら嬉しいかもしれんが、普通の人はいらないでしょ、この機能。
「日本語フォント」「それ以外」っていう分類ならありかもなー。
6.イメージの書体検索は面白いけど、モリサワフォントだけなのね
書体検索で、イメージ(力強い、とか親しみやすい、子供らしい、男性的など)や用途(ちらし、コミック、挨拶状、教育向けなど)で書体検索できる。
これはいいよね。
PASSPORTなどで大量のフォントが送られてくるんだけど、多すぎて、どの書体を使っていいかわからなかったり同じ書体ばっかり使ってしまうってことはあるから、こういうイメージ検索ができるのは◎。
欲をいえば、モリサワフォントだけでなく他メーカー(FONTWORKSとか)も対応してくれるとすごいんだけど、無理だろな。これは。
7.イメージ表示はOS 10.4では利用できない
登録されたテキストを指定フォントで表示させる事ができる「イメージ表示」という機能。
私の環境ではこのメニューが選択できなくてなんでだろーと思ったら、この機能は10.5からしか動かないんだそうな。残念。
DTP環境では10.4が結構つかわれてるんだけどなー。
8.モリサワフォント持ってない人は使えない
モリサワPASSPORTのフォントがインストールされてない環境だと使えません。
しかも認証タイプ、非認証タイプ、パッケージタイプ、フォントボリュームライセンスと入っているモリサワフォントの種類によって細かく制限を使い分けている模様。なんという身持の固さ。さすがモリサワ。すごいガードが固い女をやっとこ落としたら全然たいした事なくて「なんだよもったいつけるほどのもんじゃねーだろ」みたいな。
▲いろいろな条件で使えなくなる…
会員向けにリリースした後、思い切ってフリーウエアの大海に飛び込んだFONTWORKS LETS FontACEとはえらい違いだぜ!
んーー、とりあえず目についた点をつらつらと書いてみました。
なんというかいろいろと作りが浅すぎて、ばりばりフォント管理する環境ではとても使えないという印象。しょせんおまけか。
っていうか、このツールを作った人の環境にはモリサワフォントしか入ってないんだと思う。
システム標準のフォント+モリサワPASSPORTフォントのみの管理。それだけならできないこともない。かもね。
フォントメーカーが作るフォント管理ツールということで期待したんだけどなー。FontKeeperも LETS FontACEも。
おなじフォントメーカーが作るフォント管理ツールとしてはLinotype FontExplorer Xに一歩も二歩も百歩ぐらい差をつけられていると思うよ。
今後の進歩に期待!
【おまけ】
重複フォントの管理テスト、せっかくなので、モリサワの重複フォントでもやってみました。
テストに使ったモリサワの重複フォントはこれ。PASSPORTで配布されているモリサワのOpentype Pr5フォント。
(1)2007年12月以前に配布されていたもの←改定前
(2)2007年12月以降配布されたもの←改定後
…こんなフォントをすぐに用意できるところが私の底意地の悪さが現れております。
ご存じない方の為に。
モリサワのOpentype Pr5フォントは2007年12月に突然、アップデートされ、それまでのフォントと、それ以降のフォントでフォント名は同じなのに字形などに違いがあるという状態になっています。
モリサワからの通達では、新しいフォントに入れ替えてつかってくれということでしたが、印刷会社としてはお客様がどちらをつかってくるかわからない以上、簡単に切り捨てるわけにも行かず、現在でも「改定前Pro5フォント」「改定後Pro5フォント」としてどちらも用意してあります。
↓詳細はこのあたりに。
〈OpenTypeフォント(AdobeJapan1-5)改訂プログラムに関するご案内〉
〈モリサワOpenTypeFont AJ1-5 製品の改訂資料PDF〉
同じフォント名で内容の違うフォントをリリースするのはモリサワの伝統芸ですね。
さて、この2種類のフォント群、そのままフォルダに入れてしまっては共存できないため、それぞれ「改定前」「改定後」というフォルダにいれたあと、fontsフォルダにいれます。
この状態をFontKeeperはどう判断するのか!
結果。
なぜか新正楷書CBSK1のみが重複していると判断され、他のフォントは重複表示になりませんでした。
なんでだ???
マニュアルによるとFontKeeperは2つのフォントの重複を
・ポストスクリプト名
・コピーライト
の2点が同じであるか否かで判断してるらしい。
ということは「改定前Pro5フォント」「改定後Pro5フォント」ではコピーライトが違っているのかな?