Illustratorの保存オプションを解説する
前々回のエントリで「Illustratorの保存オプション「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れてほしい理由」というのを書いたら「他のオプションはどうしたらいいの?」という質問を頂いたので、ついでにそちらも解説。
☆まえおき☆
ここでの解説は「Illustartorネイティブファイルを印刷会社に入稿するとき、どうしたらいいか」というのを前提にしてます。
一般的な話として、こうしておけば問題が少ないだろうというパターンを説明します。
この説明をするに至った経緯として
「制作者のための『正しく刷れる』データ制作のポイント」を受ける前に知っておくべき基本の話
Illustratorの保存オプション「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れてほしい理由
こちらもご覧ください。
さて、他のオプションについては「PDF互換」のチェックに比べたらそれほど問題になるものではないのですが…それぞれの項目を解説してみたいと思います。
■配置した画像を含む:基本的にオフ
ここにチェックを入れると、強制的にすべての画像が埋め込みになります。
画像をリンクとして配置しておきたい場合は必要ありませんのでオフに。
どんな時に使うの?
画像のリンク外れによる事故を絶対に防ぎたい場合などに利用するといいようです。
たとえば、外国とのデータのやり取りでリンクファイル名に日本語が入っている等ファイル名化けの恐れがある時など、ここにチェックを入れておけばすべてのリンクファイルが埋め込みになり安心です。
オンになってたら何か問題がおきる可能性がある?
後行程で画像の修正等が入る可能性がある場合、埋め込みになると修正作業が大変になります。画像の修正が入らない場合でも例えば出力エラーなどで画像ファイルをチェックする事はありますから、リンク情報を残しておいたほうがよいです。
オフの場合はリンクになりますから、リンクファイルを添付して入稿するのをお忘れなく…。
■ICCプロファイルを埋め込む:基本的にオフ
ここにチェックを入れると、作業用スペースとして使用しているカラープロファイルが埋め込まれます。
どんな時に使うの?
RIP上でRGB→CMYK色変換を行うといった、カラープロファイルをつかったワークフローを組んでいる時にオンにします。
こういったワークフローはまだそれほど一般的ではないですし、そういった事を行っているのならそれなりに(印刷会社から)説明があるでしょうから、何も言われなければオフでOKです。
オンになってたら何か問題がおきる可能性がある?
ほとんどの場合は問題になりません。が、可能性はかなり低いですが、意図しない色変換が行われてしまうことがあるかもしれません。
一般的には、必要のないプロファイルがついていてもRIP上で無視されることがほとんどですが、そうでない設定のRIPも世の中にはあるのかもしれませんので…(私自身はここのチェックで事故になった事例はしりません…)
圧縮を使用:基本的にオン
ここにチェックを入れると、ファイルが圧縮されて多少容量が軽くなるようです。
どんな時に使うの?
ファイル容量を少しでも軽くしたい時に使います。しかし、このチェックを入れても劇的に容量が軽くなる!というものではないです。
オフになってたら何か問題がおきる可能性がある?
多少、ファイルが重くなるぐらいで特に問題はないでしょう。
前回のエントリもそうなんですが、ここで解説したのは「こういう理由があるから、こうしたほうがいいよ」という話です。
「絶対にこうしろ」と言っている訳ではありません。
どちらかというと「このオプションはこういう理由があるんだな」と設定を理解すれば「では今は外しておこう」と使い分ける事ができるだろうから、そのために解説してます。
本来はこういった設定をどうしたらいいかというのは、ご利用の印刷会社さんに聞くのが一番いいんですが、直接話ができないとか、聞いても答えてもらえないとか、間に入っている人が質問の意味すら理解してくれないとか、
色々事情がありますもんね☆
(印刷会社が駄目すぎるというご意見はすでにたくさん頂戴しておりますので、コメントいただかなくても大丈夫です 泣)