ちくちく日記

DTP系備忘録。真面目にやってます。

K100%のノセ処理


K100%のオブジェクトに対するノセ処理、というのがある。
K100%というのは文字や罫線などに使われることが多く、版ズレが目立ちやすいので、ノセにしておくというやつ。

この「ノセにしておく」という部分、2通りやり方があって

(1)DTPアプリケーション側でオブジェクトにオーバープリント指定をする。手動。
(2)RIP側で「K100%のオブジェクトがきたら、ノセにする」という設定をしておいて自動処理

大抵の場合は(2)だと思う。
っていうか、(1)のやり方(スミのせ全指定)しているデータってみたことない。

うちも(2)のやり方を採用してる。
以前はこれに加えて「特色をプロセスカラーに変換」と「オーバープリント情報の破棄」ってのもRIP側でやってたんだけど、最近のアプリケーションは、データ通りに出力しないと正しく出力できないようになってるので、それはやめた。今はRIP側でデータをいじるのは最低限「K100%のスミのせ処理」だけ。

でも、この最低限の処理でも問題になることがある。

透明効果を使ったデータの場合、アプリケーション側で透明の分割/統合処理がされると、オブジェクトによっては、その部分がビットマップ化される。
連続するスミ文字の一部分だけが透明効果の影響を受けてビットマップ化され、ほかの部分はそのままRIPで処理された場合。
ビットマップ化された部分はヌキ、ほかの部分はノセとなりその差異が目立ってしまうことがある。


これ、地味なんだけど、結構クリティカルヒットで事故になるんよね…。
スミノセ、スミヌキの違いってのはDDCPの出力ではわかりにくいので、刷版にまわって初めて気がついたり。気がついて止めてもらえりゃいいけど、気がつかずそのまま刷っちゃって事故。

アプリケーション的にはデータをデータ通り処理してるだけで、アプリケーション側の思想としては、オーバープリントしたけりゃすべてデータ側でオーバープリント指示しておくべきってことなんだろうけど。
でも、馬鹿まじめにスミオブジェクト全部オーバープリント指定してるデータなんてみたことないぞ。

K100%のスミノセ処理ってのは、確かに製版出力側が勝手にやってることではあるんだけど、もうそれが当然になってるっていうか、データ作る側だって、そんなこと自分で処理しなきゃいけないなんて思ってもないだろうし、出力側がそれをやめたら、逆にクレームになるだろうし。

#世の中には、入稿データはそのまま出力します!(データ修正とか不具合のあるデータの救済はやらない)っていう印刷会社さんもあるけど、そこではK100%の処理はどうしてるんでしょう?K100%もデータママでだしてるのかな?

解決策としては、透明効果の影響を受けそうなK100%オブジェクトは、データ側でオーバープリントチェックしてくださいねってお願いするしかないんだけど、すべてのデータ制作者がそんなことまで守ってデータを作ってなんかくれない。この問題について同僚と話していたとき、同僚が「いや、でもさ、小さいスミ文字とかが版ズレが目立つからノセにするってのは、言ってみれば印刷側の都合じゃないか?印刷が版ズレなく刷ればノセ処理なんか必要ないんだし。データ作成者にそこまで要求するのは無理なんじゃない」って言われた…。

…いや、でもさ、細かい部分は版ズレする可能性があるってのは、印刷側の都合ではあるが、印刷というものの特性でもあるわけで。現在の印刷技術をもってしても、その可能性は0にはできないわけで。
自分が作ろうとするものの特性を考慮して作ってくれっていうのは、当然ではないのか…。

そういえば、最近の営業さん(とか下手したらオペレータの子も)ヌキ、ノセの概念がわからない人が結構いるんだよね。
アナログ製版の経験があれば、一発でわかるんだろうけど、もう最初っからDTPだから、プリンターと印刷機の出力の違いがよくわからないらしい。
少なくともアナログ時代の(版下をつくっていた)人たちは、今のデータ作成者より、ずっと印刷に対する知識があったと思う。
ま、その代わりというか今の人たちは、アプリケーションだとかフォントだとかほかにいろいろ知識をもたなきゃいけないので、大変なんだろうけど。

さて、話はそれたけど、このK100%のノセ処理。
とりあえず、しばらくは事故を耐え忍んでいくしかないかなー。
そのうちPDF/X-4でAPPE出力に切り替えられれば解決するだろうし。