ちくちく日記

DTP系備忘録。真面目にやってます。

InDesign v2の[黒]スウォッチ

いまさら…というかFAQかもしれませんが、InDesignv2の入稿でトラブったので、レポート。

InDesignスウォッチにデフォルトではいっている[黒]スウォッチ

[レジストレーション]や[紙色]、[なし]と同じようにロックされ、削除することができないようになっている。

このスウォッチ、これは普通の黒ではなく[必ずオーバープリントされる黒]。
この[黒]スウォッチを使用して塗られたオブジェクトは、そのオブジェクトのプリント属性がオーバープリントになっていなくても、出力すると必ずオーバープリント、墨ノセとして印刷される。

さてその[墨]スウォッチをただのK100だと思って、オブジェクトの塗りや線に使ってくる人が多いんですが、InDesign ver2(CS2ではない。バージョン2です)でこのスウォッチを使う時には注意が必要。

[黒]スウォッチを通常のK100と同じと思って使っている人は、K100以外の濃度、つまりK50とかK80とかの色を使うのにも[黒]スウォッチを使う。つまり、スウォッチ[黒]の濃淡%を50%とか80%にして使ってしまう。

ところがInDesign ver2の[黒]スウォッチを使ったオブジェクトは、その塗りの濃淡値にかかわらず、すべてオーバープリントされる。
すなわち、K50とかK80の部分であっても、ノセ処理となる。
50%とか80%とかノセになっても出力されればまだいい方で、これを0%、つまり白として作成してしまうと…白にオーバープリントということですっぽり抜けてしまう。

これ、カンプの状態(カラープリンタ出力)だと、オーバープリントは再現されないので、気がつきません。
画面上でも、オーバープリントプレビューしてれば気がつくでしょうが、なぜかオーバープリントプレビューされてない方が多いので気がつかないようです。

入稿されて、PS作成→RIPにかけて初めて気がつく。
ちなみに、オーバープリントの設定について、RIP側でデータ上のオーバープリントを無視するという安全策を施している印刷(出力)会社は多いとおもいますが、InDesignからはき出したPSはその策が効かないことが多い。このケースでも、Trueflowでテストしてみましたが、その安全策をすり抜けた。

ちなみにこの問題がおこるのは、InDesign ver2だけです。InDesignCS1、CS2では[墨]スウォッチの100%でしかオーバープリントされないように仕様が変更されています。
CS2などでは、環境設定の中に[黒]の設定があり、[黒]100%をオーバープリントするかどうかも設定できる。

そもそもこのスウォッチ、文字の墨ノセ処理の為に存在してるんじゃないかとおもうんだけど、どうだろう。
普通のオブジェクトであれば、オーバープリントしたければフレームオブジェクトに対してプリント属性のオーバープリント属性で設定した方がいい。というか、データ作成のわかりやすさからするとそうするべきだと思う。
ただ、墨文字のノセ処理については、その量の割合の多さから考えて、フレームに設定するよりは、[必ずオーバープリントする色]を設定した方が効率がいいということで、[黒]スウォッチが用意されているのでは?

まぁ現状では、墨ノセ処理もデータ上で指定するより、RIP側で処理する方法が主流なので、そうやって用意した[黒]スウォッチもこうやってトラブルを引き起こす以外には使われていないんだけどね…。