ちくちく日記

DTP系備忘録。真面目にやってます。

「制作者のための『正しく刷れる』データ制作のポイント」を受ける前に知っておくべき基本の話

出力ネタでブログ書くのは久しぶりだなぁ!ブンブン!(腕をまわしながら)


DTPの勉強会 特別編 「制作者のための『正しく刷れる』データ制作のポイント」を受けてきました。

EQUIOS、TrueflowといったRIPメーカーとしておなじみの大日本スクリーン。その、大日本スクリーンRIP開発担当の松久氏による『正しく刷れる』データ制作ポイント講座。
『正しく刷れる』と言う事で、セッション内では「なぜ、このデータが(RIPの処理を通すと)正しくでないのか」という話がかなりかなり詳しく説明されました。
私は一応出力側の人間なので(最近業務では出力から離れてるけど…)この辺りの話はよくわかる。松久氏の詳しい(やや内部的な)説明も「なるほどなるほど」と楽しく聞けたのだけど、普段まったく出力に縁のないデザイナーさんとかだとちょっと難しく感じるところもあったかなーと思った。(そういう話が聞けるという所があの勉強会の面白いところであったとも思うのだけど)

なので、基本的すぎて今更な感じもするけど、ややこしいところは省いて、簡単に勉強会のポイント(というか、そもそもあの勉強会を受ける前に知っておくべき基本の基)をまとめてみようと思う。
簡単にするので、あえて細かい話はしない。「結局、データはどうやって作ったらいいの?」っていうデザイナーさんと「どうやって出力したらいいの?」っていう出力側に最低限ここだけは守るべき事を書いておく。


データ作成者(デザイナー、オペレーター等)のポイント

1.オーバープリント属性をちゃんと設定する。必要の無いところにはつけないように。必要なところはつけるように。
2.特色印刷ではないのに、データ上で特色スウォッチ(スポットカラー)を使わない
3.EPSを使わず、ネイティブファイル形式でデータを作成する
4.Adobe CS3以上のバージョンでデータを作成する
5.不要な透明効果は使わない


データ出力者(印刷会社、製版会社等)のポイント

1.PS(EPS)を使わない、PDF(PDF/X−4)に切り替える
2.Adobe PDF Print Engine(APPE)の運用に切り替え、PDF(PDF/X−4)のワークフローにする
3.RIP上での特色→プロセスカラー変換処理をやめる
4.RIP上でのオーバープリント無視設定をやめる
5.RIP上でのK100墨ノセ処理をやめる

データ作成者(デザイナー、オペレーター等)のポイント、を解説


1.オーバープリント属性をちゃんと設定しましょう。必要の無いところにはつけないように。必要なところはつけるように

オーバープリント属性ってのはそのオブジェクトの色が、ヌキ合わせではなく、ノセ処理になる設定です。オブジェクトを選択して属性パレットでチェックをいれます。


InDesignのパレット、Illustratorのパレット
InDesign : ウィンドウメニュー→プリント属性属性 Illustrator : ウィンドウメニュー→属性でだせます)


必要なところって?

一番よく使われるだろうと思われるのは、墨ノセ処理をしたいオブジェクトです。
墨文字など、すべての色版の上にノセておきたいオブジェクトにはオーバープリント設定をします。


注意点は?

オーバープリント設定をしたオブジェクトを後から色変更し、オーバープリントが必要なくなった時に、属性のチェックを外すのを忘れないようにしましょう。
特にK100(黒)からK0(白)に変更した場合など、オーバープリント属性にチェックが入っていると、出力時にオブジェクトがなくなってしまう結果になります。
IllustratorでもInDesignでもオーバープリントプレビューという、印刷時のノセ、ヌキの状態がプレビューできる表示モードが搭載されています。データを作成するときは、このモードでオーバープリントを確認してください。


いままで気にしてなかったけど、大丈夫だったよ?

世の中のRIPは「データ上のオーバープリントを全部無視する」「K100%のオブジェクトは全部ノセにする」という強制的な無効化設定が仕掛けてあるものが多くあります。
これは「データ上でオーバープリントを間違ってつけているデータが多い」「K100はノセ処理をするのがほぼ常識なので、デフォルトでそうした方が事故が少ない」という、親切心と事故回避の為の予防策でした。
このため、今まではデータ作成者の方が特に気にしなくても、K100%のオブジェクトはすべてノセになっていたし、オーバープリントを間違ってつけていても事故にならなかったのです。


なんで、その処理のままじゃだめなの?

最近のAdobeアプリが作るデータは、様々な効果が使えるようになったことから複雑化し、RIP上で単純に設定を変更すると、かえって出力結果がおかしくなってしまう場合があるから。

要は、(最近のIllustratorなどで使えるような)複雑な効果、表現を出力する為に、アプリケーションが内部でオーバープリントなどをフル活用したデータを作っているのです。アプリケーションはデータがそのまま出力されるという前提でデータを作ります。これをRIP側で勝手に変更してしまうと、出力結果が変わってしまうことになります。



2.特色印刷ではないのに、データ上で特色スウォッチ(スポットカラー)を使わないように注意する

特色スウォッチ(スポットカラー)ってのは、CMYKの版とは別にその色だけで1版が出力されます。
IllustratorInDesignのスウオッチパレットでカラータイプが「特色」と設定されているものがそうです。

特色スウォッチ(スポットカラー)は特色版を出す時にのみ使うものです。プロセス4C印刷の時に使っていてはいけません。
しかし、意外とこの辺気にせず、無頓着に特色スウォッチ(スポットカラー)を使用しているデータは多いのです。


いままで気にしてなかったけど、大丈夫だったよ?

世の中のRIPは「データ上の特色スウォッチ(スポットカラー)はすべてプロセス4Cに変換する」という強制的な無効化設定が仕掛けてあるものが多くあります。
これは「データ上で特色スウォッチを間違って使っているデータが多いから、強制的にプロセス4Cに変換したほうが事故が少ないだろう」という、親切心と事故回避の為の予防策でした。
このため、今まではデータ作成者の方が特に気にしなくても、特色スウォッチ(スポットカラー)を間違って使用したままでも事故にならなかったのです。


なんで、その処理のままじゃだめなの?

最近のAdobeアプリは、複雑な効果や表現を印刷で再現するために、データの通りに出力されることを前提としたデータを作るからです。
例えば、特色に透明効果の処理がかかっているような表現のとき、アプリケーション側が「あ、ここは特色なのね、じゃ、出力のときにはオーバープリント処理に変換しよう」というように、最終的に出力結果が同じになるように、データを置き換えて出力します。

これをRIP側で「あ、ここは特色じゃなくてプロセス4Cに変換ね」などと変換してしまうと、出力結果がおかしくなってしまいます。だからこの手はもう使えないのです。特色は出力前のデータの段階でプロセスカラーに変換しておきましょう。



3.EPSを使わず、ネイティブファイル形式でデータを作成する

ネイティブファイル形式とはIllustratorなら.aiファイル、Photoshopなら.psdファイルです。
PDFファイルにするなら、PDF/X-1aではなくPDF/X-4を使用します。

EPSファイル(やPDF/X-1a)とこれらネイティブファイル(やPDF/X-4)の最大の違いは「ネイティブファイルは透明効果をそのまま保持できる」というところです。

Illustrator9からデータ内で透明効果が利用できるようになりましたが、EPSファイル形式はこの透明効果を透明のまま処理する事ができません。
なので、透明効果をつかったデータをEPS保存すると、透明効果の部分は見た目は透明に見えるけど透明ではないオブジェクトに置き換えられて保存されます。
簡単にいうと、透明効果のオブジェクトをビットマップ画像に変換したり、オブジェクトを分割して透明のように見えるように置き換えたりといった処理が行われます。あくまでデータ内部の処理ですので、これをユーザーが意識することはあまりないです。裏側でこっそり処理されてる。


ビットマップ化されようと、オブジェクトが分割されていようと出力結果的に問題なければEPSを使ってもいいじゃない?

んー、問題ないといえば問題ないんだけど、このEPS保存に伴うビットマップ化とかは、アプリケーション側で行われるので、ぶっちゃけ品質(解像度)がやや低い場合がある。
あと、オブジェクトが分割されることによって、透明効果のままより複雑なオブジェクトになってしまって重くなるとか。

処理的には透明効果のオブジェクトは出来るだけその透明属性を保ったまま、最終出力までもっていくっていうのが一番いいワークフローなわけ。
最終出力(RIP)まで透明効果を保持しておき、RIP側で透明効果の変換処理を行うようにすれば、アプリケーション側で変換されてしまうより、もっと高品質にビットマップ化できるし、画像の色調コントロールとか、色々な処理を加える事もできます。

つまりもう、EPSで運用することのメリットってあんまりなくなってるのよね。むしろデメリットの方が多い。とにかく、あまり深く悩まずにネイティブ形式で保存しておいてほしい。
あ、その際Illustratorの入稿データはPDF互換のチェックをいれて保存してくださいね。

Illustratorの保存オプション。PDF互換にチェックが入ってないと、InDesignに貼れなくて後行程が泣きます。ここはお約束としてチェックを!



4.Adobe CS3以上のバージョンでデータを作成する

Adobe CS2以前のバージョンはネイティブ運用するのに好ましくないバグが色々あります。Adobeはこれを治しません。だからCS2以前のバージョンを使ってはいけません。

CS3以降ならすべてのバグがなくなっているとはいいませんが、それでもだんだんとよくなってきてはいるので。



5.不要な透明効果は使わない

先日Twitter上で「墨ノセ処理をするのに、オーバープリントではなく、透明効果の乗算を使います。社内はそういうルールになってます」という発言をした人がいて「なななな、なんじゃそりゃ〜〜〜〜〜!!」とかなりたまげてしまった。
その会社がどういう経緯でそのルールを採用するに至ったかは不明だけど(いや、実はうっすらと想像はしてるんだ…多分オーバープリントだとRIPで無視されるからとかそういう理由なんじゃないか…とか)ともかく、オーバープリントの設定の代わりに乗算を使う、と単純にルール化するのはかなり乱暴だと思う。


「なんでオーバープリントの代わりに透明効果の乗算使ったらいけないの?」

えっと、そもそもオーバープリントってのは製版処理であって、印刷の版に対する指定なわけで…実際乗算とオーバープリントの処理は似ているようで、結果に違いが生じる場合もあるし…。と、ごちょごちょ説明しようかと思ったが、そもそも「なんでオーバープリントの変わりに乗算使ったらいけないの?」という質問が出てしまう人は、オーバープリントという製版処理をよく理解していない場合が多いので、そこをごちょごちょ説明しても混乱させるだけである。

なのでここは違う観点から透明効果の乗算を使っては行けない理由を説明しよう。


「墨ノセ文字をすべて乗算にする(データ中あちこちに透明オブジェクトが発生する)みたいな使い方したら、出力時のRIP処理が遅くなるから!」


「EPSを使わず、ネイティブファイル形式でデータを作成する」で述べたように、透明効果を保ったまま、最終RIPでビットマップにする、というのがいいワークフローである。
しかしこれは逆に言えば、すべての透明効果についてRIPで計算が入るという事で、その数が多ければそれだけRIPに負荷がかかる。
もちろん、多少の(常識の範囲の)透明効果の処理でRIPが目に見えて遅くなるという事はないけど、墨ノセ全部乗算みたいな使い方だと塵も積もればで処理時間が増えるだろう。

「デザイナーはデザインするのが仕事だからデータの造りなんてどうでもいいのよ…!」みたいな意見もあるかと思いますが、やはり最終的にRIPを通るものであるなら、できるだけRIPに優しい造りを心がけるべきかと思われます。




以上、データを作る人に守ってほしい基本の基。
「作ったデータがちゃんと出力されるかどうか不安」っていうけど、基本的にデータ作る人は、上のお約束をちゃんと守ってデータを作りさえすれば大丈夫なはずなんだ。そのデータがそのまま出力されても大丈夫な作り方をしていればちゃんと作ってあるデータをおかしくして出すという事はない。
勉強会では、この他に色々(DeviceNだとDeviceGrayだの)ややこしい話もでていたけど、難しい理屈が必要なトラブルっていうのは、ちゃんと作っていないデータをRIPでなんとかしようとしたときに起こる事が多い。ちゃんと作ってあればちゃんと出るはずなのです。(と、いうかちゃんと作ったデータをちゃんと出せないのは印刷会社が悪い。でもそこには色々と事情もあるの…後述)



次に、データ出力者(印刷会社、製版会社等)のポイント…なんだけど。
…こっちはなぁ…データ制作者の方の話ほど単純じゃないんだよね…。でもデータ制作する人にとっても印刷会社のRIPがどういう状態なのかは知っておいた方がいいと思うので書いてみる。

データ出力者(印刷会社、製版会社等)のポイント

1.PS(EPS)を使わない、PDF(PDF/X−4)に切り替える
2.AdobePDFPrintEngine(APPE)の運用に切り替え、PDF(PDF/X−4)のワークフローにする
3.RIP上での特色→プロセスカラー変換処理をやめる
4.RIP上でのオーバープリント無視設定をやめる
5.RIP上でのK100墨ノセ処理をやめる


データ出力者(印刷会社、製版会社等)のポイント、を解説


1.PS(EPS)を使わない、PDF(PDF/X−4)に切り替える

データ制作のポイントでも言ったけど、PS(EPS)をやめる。
印刷会社の場合はデータの保存形式としてのEPSだけでなく、出力用データ(つまりRIPに投げ込むデータ)形式として、長年PS(PostScript)ファイルを利用してる。
EPSと同じく、これも透明効果を保持できない。出力用データを作るためにアプリケーションからPSファイルを書き出した時点で透明効果はビットマップ化されたり分割されたりして透明じゃないデータに変換される。
アプリケーションで透明効果の変換処理をすることになるので、当然ながら品質はやや落ちる。
ここは出力用ファイルにPSを使うのをやめて、透明を維持できるPDF/X-4形式の運用に切り替えて、RIPで透明効果の処理が出来るようにしたいところ。


2.AdobePDFPrintEngine(APPE)の運用に切り替え、PDF(PDF/X−4)のワークフローにする

RIPで透明を含んだPDF(PDF/X-4)を処理するためにはRIPのエンジンを透明効果を処理できるエンジン(Adobe PDF Print Engine)に切り替えるということになる。

PDF/X-4形式の運用に切り替えて…と言ったけど、実際の話はそんなに簡単じゃない。
印刷会社にとっては、内部でいま動かしているRIPを新しいRIPに切り替えるというのは、ほんとに怖いこと。特に継続している業務があるような場合、RIPを変える事で出力が変わってしまう可能性もあるとなると慎重にならざるを得ない。
設備投資や周辺の協力会社との連携、オペレーション手順の変更など、色々クリアしなければならない問題は多い(その辺の詳しい事情は以前の日記でも書いている

現在の運用ラインと新しいAPPEでの運用ラインと、二つのラインを運用するか、それともきっぱりAPPEだけに切り替えてしまうか、そこは印刷会社それぞれの事情と判断になるけど、どちらにせよ、印刷会社にとっては結構な負担。

印刷会社にしてみれば、現状のPS運用ラインをひっぱれるだけひっぱって使い続けたい…というのが本音。

つまり、データ制作者の方が気を使ってすべてネイティブデータでデータを作ってきても、最終出力の段階でPSに変換して(古い環境で)出力してる。これが今の状態。

APPEにすれば、出力品質もあがるし、PSの出力よりはPDFの出力の方が出力時間が早いとか、RGBワークフローでカラーコントロールできるとか、色々メリットもあるんだけど、分かっているけどなかなかハードルが高いのだ。

まぁ印刷会社といっても色々だから「もうとっくにAPPE移行ずみですよ」というところも増えてるけどね(実際、先日の勉強会の後の懇親会で話した出力クラスタのとこは全部移行ずみだったぜ…)



さて、そういった困難を乗り越えて、APPEを導入したとしよう。
それでも問題は解決しない。


3.RIP上での特色→プロセスカラー変換処理をやめる
4.RIP上でのオーバープリント無視設定をやめる
5.RIP上でのK100墨ノセ処理をやめる


データ制作のポイントの所でも話したけど、印刷会社のRIPには「データをその通りにださない」設定がいくつもかけてある。
特色のプロセスカラー変換、オーバープリント設定の無視、K100オブジェクトへの自動ノセ処理。
でも、説明したとおり、最近のAdobeアプリが作るデータは、これらの設定をかけるとデータがおかしくなってしまう場合がある。


ではどうするか?

来たデータをそのまま、データ通りに出力するように設定を変更するか?
それとも(おかしく出力されてしまうケースがあることを承知の上で)いままで通り、これらの設定を使い続けるか?


結局のところ「どちらの設定にしておいた方が事故が少ないか」で方針を選ぶ事になる。
残念ながら、現状、事故が多くなりそうなのは入稿されたデータをそのまま出力する、だろう。
つまりそれだけ、正しくデータが作れてないものが多いのだ。

間違った特色、間違ったオーバープリント、設定されていない墨ノセ…これらをカバーするために、RIPの設定で救済措置をする。

でもそれは「完璧に正しく作ってあるデータであるのに、おかしく出力されてしまうデータがでる」ということでもある。
間違ったデータを救済するために、正しいデータがちゃんとでないことには目をつぶる。ジレンマ…!!!

もちろん「入稿データ、そのままデータ通りだします。出力がおかしかったらそれはデータ制作者の責任ね」というのが理想ではあるのだけど、なかなかそういう風にはいかないのよ。


現実的に折り合いをつけるライン

個人的には、入稿されるデータがすべて完璧にできている、データの責任は全部データ制作者がとるなんていうのはどこか遠くにあるかもしれない桃源郷、夢の世界にしかすぎないと思っているけれど、かといって、今やっているようなRIPでの救済はいずれ(今でもそうとうムリがあるけど)破綻するだろうと考えてる。

少なくとも、特色→プロセスカラーの変換とオーバープリント無視の処理はもうやめてもいいんじゃないかなぁ。これは入稿データのチェックで比較的簡単にチェックできる部分でもあるし。
あとはK100のノセ処理だけど…うーん、これぐらいは残してもいいかなぁ。これによって起きる事故もあるけど(それも勉強会で説明されていたけど)限定的だし…。ノセ処理を全部データ側でやるのは結構大変だと思う。

特色やオーバープリントのチェックと修正は、出力前のデータプリフライトで行う、K100のノセ処理のみはRIPの機能を利用する、このへんが折り合いのつくラインじゃないかなぁ。



出力業務をまったくやったことがないデザイナーさんたちにとって、RIP側で強制的に変更されてる設定があるってのは「出力」を理解しづらいものにしている要因だと思う。
設定したつもりがないのにノセになってるとか、間違って作ったはずだったけどちゃんと出てるとか、RIPの設定知らなければ「この機能は設定していても何もおこらないんだ」と思ってしまっても仕方ないかも。
(上にでてきた「墨ノセはオーバープリントではなく乗算をつかう」ってそういう経過のなかで誤解が生んだ回避策ではないかと想像している)

そういう風に「出力」をブラックボックス化してしまったのは、印刷サイドの「事故を起こさないように設定をしておこう」という予防措置であったのだけど、今、その設定がかえって事故を生む状況になってしまった。
データを作る側も「間違っていても印刷側でちゃんとだしてくれる」という環境のなかで、結果的に特色やオーバープリントといった機能に無頓着なデータを作ってしまっている。


これ、どっちにとっても不幸な状況であるのよねー。


この先、出力側は「データをデータの通りに出す」という方向に切り替えていかなければならないし、データ作成者側も「間違ったデータを作ったら間違った出力になる」ということを理解していかなければならない。

現実的には「事故ったら誰が責任をとるのか」という(金銭的損害の)問題が絡んでくるので「俺、今日から理想的な出力環境で頑張るよ…!」みたいなテレビドラマ的解決にはなりえないのだけど。


とりあえず、データの制作者の方には「このデータがそのまま出力されても絶対に問題ないデータ」を目指してデータを作って欲しい。データに問題がないのに、出力がおかしければ、それは出力サイドの問題です。堂々と「このデータは悪くないのに出力がおかしい!」と文句を言って欲しい。

そして出力サイドは「RIPの設定が(又はデータの設定が)おかしいから、事故になりました」と伝えられるようになってほしい。



結局、どかーーーんと何回か事故らなきゃ、お互い変われないんだと思うよー。



ちなみに、今回の勉強会。好評であっというまに席が埋まってしまったため、東京と大阪での再演が決定しています。

[東京]
【【DTPの勉強会 特別編・第3.2回】参加受付

[大阪]
第13回勉強会のお知らせ


この基本の話をふまえて、さらに詳しい出力話を聞いてみてください。