AdobeCSの複数バージョン共存で注意すべき事
AdobeCSの複数バージョンを同一マシンにインストールする事に問題はあるか?という質問に対して
「Suite製品に関しては、複数バージョンを同一マシンにインストールしてもかまわない。それぞれのバージョンで設定ファイルなどは上書きされず、独立することを前提として開発しているので、複数バージョンが入っていても問題ない」
と回答していた。
ただし「Acrobatについては、基本的に単独(バージョン)動作を前提に開発されているので、複数バージョンが入っていると問題があるかもしれない」とのこと。
複数バージョンの共存については、Adobeのサポートページなどでは「推奨しない」となっている
Adobe TechNote:227221
InDesign CS2 をインストールすると InDesign 2.0 または CS でいくつかの小塚フォントが認識されなくなる(Macintosh)“しかしながら、弊社では複数のバージョンの InDesign を同じシステム上にインストールすることは推奨しておりません。複数のバージョンが混在してしまうことによって、予期しない問題が引き起こされる可能性があります。”
Adobeとしては(サポートもめんどくさいし)推奨いたしません、が公式見解だろう。
セミナーでは「やってもよい。わたしも入れてます」と回答してたけど。
ただ、現実問題としてこんだけ次から次に新しいバージョンを発売してくださるのに、一つのバージョンしか入れられないんじゃ仕事にならないよ!
と、いうことで、私はCSの過去バージョン全部、同一マシンで共存させている。あ、過去バージョンすべてといってもDTP系のものしか入っていないので、Illustrator、Photoshop、InDesign、Acrobatぐらいだが。
個人的な経験からいうと、複数バージョンの混在は、いくつか注意点さえ守れば問題なく動作する。
■インストールは古いバージョンから、順番に。
複数バージョンをインストールするときは、古いバージョンからでないとインストールできない。
CS4とかをインストールしてしまった後に、古いバージョンであるCS2を入れようとしてもインストーラーが動かず、インストールできないのだ。
新しいバージョンを削除して、古いバージョンを入れようとしても、うまく行かない事が多い。
なので、インストールは古いバージョンから順番に行う事。
さらに、これはインストールし終わった後に、なにか調子が悪くなって、古いバージョンだけ入れ直したいって時もうまくいかないという事でもある。
CS1からCS4まで入ってるマシンでCS2だけ入れ直したいってなってもだめ。そうなるとシステムから入れ直して、CS1からまたインストールし直すことになる。
だから、インストールが終わったら、その状態でバックアップをとっておく事をおすすめする。
予備のディスクにシステムとアプリケーション丸ごとバックアップしておく。(バックアップソフトはなんでもいいけど、Apple純正のディスクユーティーリティで復元機能を使うのが手軽)
▲ディスクユーティーリティの復元機能
バックアップをとっておけば、何か問題が起きたときでも1から入れ直さなくていいからね。
最近はAdobeのアップデータに地雷があったりとかで、思わぬところから再インストールを余儀なくされることも多いから!
■フォントに注意!
複数バージョン共存で一番気をつけなければならないのは、フォント!
AdobeのSuite製品は、インストールするとそのバージョンごとに大量のフォントをインストールしてくださる。
インストール先は"ライブラリ:Fonts:"フォルダだったり、"ライブラリ:Application Support:Adobe:Fonts:"だったりバージョンによってバラバラ。(統一しろよ…)
で、注意しなければならないのは、同じ場所にあるフォントについては、上書きされてしまう事。
バージョン違いのフォントなども上書きされてしまうので、うっかり使っていると文字ずれなどの事故につながってしまう。
これをさけるため、インストールされるフォントは必ず、バージョンごとに取り分けておく事。次のバージョンをインストールする前に、外しておくのだ。
で、アプリケーションを使うときはそのバージョンにあわせたフォントを使う。
フォント管理ツールで管理すると、オンオフが簡単。
アプリケーションとバージョンをあわせるっていうのは、別に違うバージョンのフォントを使ってたって使えないわけじゃないのだけど、バージョンをあわせておいた方が、データの受け渡しで問題がないだろうという考えから。
たとえばCS2で作るのに、CS4の付属フォントを使ったとする。そのデータを印刷所に入校したときに、印刷所では、何も言わなければCS2の付属フォントで開くだろう。そうするともし付属フォントにバージョン違いがあれば、文字ずれがおこる。
無用のトラブルを避けるためにも、付属フォントは同じバージョンで使ったほうがいいよね。
と、いうことで、ユーザーの実経験をもとに言えば、いくつか注意点に気を配れば、ちゃんと複数バージョン共存できるのでした。
あ、そうそう、そういえばこのセミナーで「InDesignCS 5,5はInDesignCS 5と互換性がありません」と言われたという話。
これを聞いて「互換性がないだって…!」と驚く人が多いみたいなので、言っとくけど、今までだってInDesignは過去バージョンとの互換性はなかったよ。
一応上位バージョンで過去バージョンのファイルは開けるけど、そこに保証はないし、上位→下位への保存については、1つ下のバージョンへの書き出ししかサポートされていない。書き出しの形式もinxファイルやidmlファイルといった形式で書き出して、下位バージョンで読み込むというもの。
上位バージョンで追加された機能については下位バージョンで読み込むときに無視されるので、読み込めるというだけで内容は保証されない。
これはCS5.5とCS5の間でも同じ事。
CS5.5で追加された機能は新しい形式への書き出し対応といった(直接オブジェクトに影響しない)ものがほとんどなので、CS5.5→CS5への書き出しもさほど問題はでないだろうけど、それでも100%保証されるものではない。
と、いうか、InDesignに限らず、最近のAdobeソフトはどれでも(Photoshopですら…)異なるバージョン間でのデータのやり取りはやめた方がいいと思う。
アプリケーションが多機能化して、作られるデータファイルが以前ほど単純なものではなくなっているので、思わぬデータの欠落があったりするよ。
そんな状況だから、なおさら、複数バージョンを用意しておく必要があるんだけどね。Adobeが推奨しなくってもね!