ちくちく日記

DTP系備忘録。真面目にやってます。

Illustratorの「効果」とStuffit 8

久々にDTPネタです。

現場から「出力した画像が抜けてしまう」と検証依頼があった。
IllustratorCS2で作成されたデータで、数点配置された画像のうち一つだけが抜けてしまうのだという。
問題のデータを開いてみると…あ、あれ?真っ白?

リンク画像がすべて、プレビューがなく真っ白状態。これはいったいどうしたことか?
オペレータさんに聞いてみると「入稿されたデータを開いてみると、プレビューが全部落ちている状態でした。でもリンクが外れている訳じゃないし、EPS保存するときに『配置画像を含める』で保存すればちゃんとでるだろうからそのまま作業しました」

…なるほど。
たしかに『画像を含める』で保存すれば、プレビューが付いていなくてもちゃんと出力できるはず。
現に抜けたのは1点だけで、ほかの画像はちゃんとでているし。

では、なんで1点だけ抜けたのか?
実はこの1点にはIllustratorの「効果」メニューから「スタイライズ ぼかし」の処理がかけてあった。

そう、EPSリンクファイルに「効果」を適用したファイルは、プレビューがついていないと出力されない。のである。
(正確にいうと、出力されないというよりは、何もない画像に効果を適用したものが出力されるので見えない、のだと思う)

ねぇ、これってFAQ?私、今回のトラブルまでしらなかったんだけど。
確かに、プレビューの付いていない(真っ白な)画像に「効果」をかけるなんてのは、普通やらないオペレーションではあるので(「効果」をかけてもそれが確認できないもんね…)このトラブルに遭遇することは稀だろうけど…

ともあれ、今回の教訓。IllustratorでEPSのリンクファイルに効果メニューを適用するときは、プレビューがついてないと出力できないぞ!気をつけろ!

さて、トラブルというのは複合的な要因で起きるものです。
今回の件についても、単純に原因だけでいうと「プレビューついてない画像に効果がかかってた」なんだけど、そもそもなんでプレビューがついてなかったのか。
入稿されたファイルにプレビューが付いてないというのは、たまにある。
よくあるのは、Macで作成されたデータをWindowsにもっていったとか。DOSフォーマットされたメディアでやり取りした、でもいい。
ネットワークによるデータのやり取りが要因というのもありがち。圧縮→転送→解凍の過程で付いてるはずのリソースが落っこちちゃうんですな。

今回のデータもネットワークを介した入稿。先方からは圧縮したデータがFTPサーバにアップロードされていた。
圧縮形式はzip。確認した訳ではないけど、多分Mac標準の”アーカイブを作成”で作成したもの。
さて、入稿されたファイルはどうだろうとデータを解凍してみる…と、あれ?プレビューついてるじゃん。
入稿されたファイルを解凍してみたものにはちゃんとプレビューがついていた。

ありゃりゃ、それじゃ入稿後のうちの手順でどこかに問題があったんだ。
作業したオペレータさんに作業手順を再現してもらう。
入稿されたデータをサーバに移す。OS XのマシンでファイルをStuffIt Expanderにドロップして解凍…んん?
ねぇ、これってzipファイルだよね。ダブルクリックするだけで解凍できると思うんだけど、どうしてわざわざStuffIt Expanderにドロップするの?
「だって、圧縮ファイルは全部これにドロップしたらいいって教わったので…」
そうか…、まぁいろいろな手順でやられるより、一つの手順に統一しておいた方が、トラブルは少ないかもね。
では、その解凍されたファイルをみてみましょうか…あっ!プレビューがない!

犯人はこれだー!
オペレータさんが使っていたマシンにはStuffIt Expanderのver8が入っていたのだけれど、これでzipファイルの解凍をすると、Macのリソースがすべて落っこちてしまうのだった。

ちなみにStuffIt Expanderでも最新のバージョンv12ではこの現象はおきない。(v10でも起きなかった。確認できなかったけど多分v9とかでも大丈夫なんじゃないか)
ともあれ、原因がわかったところで、すべてのマシンをチェックしバージョンの低いStuffItを最新バージョンに入れ替えた。
いやいや、zipファイルまでStuffItで解凍されるなんて私の想定外だったよ…

しかし、圧縮解凍ソフト(特にStuffIt)はバージョンごとにいろいろと互換性問題とかあるからやっかいだなぁ…どっか詳しくまとめてないかしら。