ちくちく日記

DTP系備忘録。真面目にやってます。

街の出力屋

先日会社の同僚と「今後の出力について」話をした。
まぁ話といっても雑談に近い立ち話で出力関連のあれこれを話していたのだけど。

以前ここの日記でも書いたのだけど、印刷会社で稼働しているRIPは、ほとんどの場合、来たデータをそのまま出力するのではなくて「まずいところを修正する」というオプション設定をかけてある。

そのオプションとは
(1)特色(スポットカラー)をプロセス4色に変換する
(2)アプリケーションで設定されたオーバープリントを無効にする
(3)墨(K100)の文字、オブジェクトに対してノセの処理をする
の3つ

いずれも「データ作成者が誤って設定してしまった、若しくは設定し忘れた」部分をカバーするための機能。
こういった機能がかまされていることに対して「何でそんな余計な事すんだよ、オレは自分のデータはそのまま出して欲しいんだよ!」と不満を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、入稿されるデータの大多数は「この機能がないととんでもない事になるデータ」なんです。
印刷屋(というか製版屋だな)はそういった不備のあるデータをRIP側の設定で修正することによって印刷事故を防いでいたわけです。

ところが、Adobe CSやQuark6等の新しいアプリケーションでは、
 特色をそのまま取り込む事
 アプリケーション側のオーバープリントをそのまま取り込む事
を前提としたPSが作成される。

このPSを前出の設定をかましたRIPにかけると、色が変わってしまったり飛んでしまったりと「予期せぬ結果」となってしまう。

つまり、アプリケーション側は「データに設定されている状態が全て正しい」という前提でPSを作成しているのに対して、RIP側が「データの設定は全て間違っている」という処理をしてしまうもんだから、食い違いが生まれて出力結果がおかしくなってしまうという訳。

この問題を解決するには「RIP側もデータをデータ通りにだす」事が必要。
つまり「正しいデータは正しく、間違ったデータは間違ったままで」出力する。

間違ったデータをそのまま出力して、結果が間違っていても「データ通りに出しました」と言わなきゃならない。
…と言ったような話を同僚としていたのだけど「間違ったデータも間違ったまま出す」事について、その同僚曰く

「それじゃ街の出力屋といっしょだよ!うちの品質が保てない!」

街の出力屋ってのはあれだ、キンコーズとか、そういうの。
ああいうところはデータを「出すだけ」ってのが基本だから、間違ってたら間違ってるまま出るし、出力できないデータは「でません」で終わり。

彼が言うには「お客様は、『○○印刷さんとこだったらいい印刷物を作ってくれるだろう』と信頼してうちに仕事をくれるのに、データが間違ってますからと言って、程度の低い印刷物を作りたくない」

彼の言う事もわかる。
「データ作成の責任は作成者にあるべきだ」というのは重々承知。でも「質の悪いデータ」をそのまま出して「質の悪い印刷物」を作るような事はしたくない。

私だって、いくらデータ通りだからといって、ほっそい墨文字がヌキ合わせになってたり、とんでもないところにオーバープリントかかっちゃってる印刷物ができてきたら「なんじゃこりゃぁぁぁ!」と思ってしまう。そんな恥ずかしい印刷物は作りたくない。
悪いのがデータ作成者であっても、出来上がった印刷物は印刷会社の商品なのだ。
言い方は悪いが「出して終わり」の出力屋の仕事にはしたくない。
かといって、来たデータを全部チェックして修正するなんて無理だしなー…。

やっぱり「データ作成者に正しい知識を持ってデータを作ってもらう」ってあたりが肝なのだ。

どうやって?わからないけど…。